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自治体FM物語第4巻 › 幕間
第4巻 幕間

蓑輪研究室 第一部

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蓑輪の個室に、皆川は青葉市での調査結果をまとめた報告書を持ち込んだ。

長谷、折原、千々岩と宮野、響矢、石末。

五件の面談内容を、一枚の図に整理したものだった。

蓑輪は一通り読み終えたが、すぐには感想を言わなかった。

資料を最初のページに戻し、もう一度、矢印の流れを目で追っている。

「面白い報告ですね」

ようやく蓑輪が口を開いた。

「計画が存在することより、それを止めずに回し続ける仕組みの方が、効いているように見えます」

「はい」

皆川は頷いた。

「現場を確かめる人、状態を更新する人、数字に置き換える人、判断を記録する人、住民に説明する人。それぞれは、自分が特別なことをしているとは思っていないようでした」

「しかし、組み合わさると、一つの循環になる」

「そう見えます」

蓑輪は、資料の最後のページを指で軽く示した。

そこには、湊原市という自治体名が、次の調査対象として記されている。

「では、この循環は、青葉市さんだから成立したものなんでしょうか」

蓑輪が訊ねた。

「それとも、条件がそろえば、他の自治体でも成立するものなんでしょうか」

いつもの問いだった。

だが皆川は、青葉市へ向かう前に同じ問いを聞いた時よりも、その意味を具体的に捉えられるようになっていた。

長谷のような人がいるから成立したのか。

石末のような技術者が残っているからなのか。

それとも、人が違っても、役割がつながれば同じことが起こるのか。

「今の調査だけでは、まだ分かりません」

蓑輪が頷いた。

否定ではない。

次に確認すべきことを示している。

「行ってみないと、分からないですね」

皆川は答えた。

青葉市へ向かう前にも、同じ言葉を口にした。

だが今度は、何を確認しなければならないかが、以前よりはっきりしていた。

「湊原市では、青葉市と同じ役割が存在するかを確認します」

皆川は続けた。

「存在しない場合には、何がその役割を代替しているのかを見ます。人手の少ない自治体でも循環が成立しているなら、青葉市の取組が伝播できる条件が見えるかもしれません」

蓑輪は、軽く頷いた。

「そうですね」

それだけで、湊原市への調査は正式に決まった。

この話のFM豆知識

(豆知識は準備中)

つづく

※本作はフィクションです。登場する人物・団体・自治体等はすべて架空であり、実在するものとは関係ありません。作中の制度・法令に関する記述は一般的な説明であり、最新情報は関係省庁にご確認ください。詳しい注記はこちら