平成19年11月
「公共建築のFMと保全ネットワーク」準備会
「公共建築のFMと保全ネットワーク」 設立趣旨
近年、厳しい財政事情、市町村合併により、国や地方自治体では、所有施設の有効活用が重要な課題となっている。
例えば、国土交通省の社会資本整備審議会建築分科会においては、「国家機関の建築物を良質なストックとして整備・活用するための官庁営繕行政のあり方について」(平成18年7月20日)が出されるなど、FMへの取り組みが喫緊の課題となっている。
また一方、世界的な規模で地球環境問題への取り組みが求められているが、わが国では建築物の新築・改修・運用による炭酸ガス排出量が、総排出量の約1/3強(2005年で41%)を占めており、運用段階での排出量が、その大部分であることが幅広く認識されつつある。
これらは、公共建築に関する代表的な課題であるが、本来国・地方自治体等の公共建築は、コスト、環境、安全、利用者への配慮などの視点において、施設状況と運用が、常に最適な状態にあることが求められ、その意味で建築のリーダー役としても期待されていると言える。
そのためには、施設のマクロ的把握、中長期の修繕コスト・エネルギーコストの把握などとともに、将来の社会変化や社会ニーズの変化(例えば、炭酸ガス排出半減目標、建物の長寿命化、人口減少、特色ある地域づくり、地域活性化、テレワークの導入など)を踏まえて、施設整備戦略、施設運用戦略を立案することが必要となるはずである。しかし、これらの点に関して国や地方自治体での取り組みは、組織間で大きな違いがあるのが現状で、また理想と現実の間には大きなギャップがあり、そこに各組織が抱える諸課題があると捉えている。
これらの状況に鑑みて、公共建築のFM と保全に関して、『公共建築に携わる組織に限定した情報交流の場』として「公共建築のFMと保全ネットワーク」を形成し、「ネットワークニュース」により先進的な取り組み事例を紹介するとともに、各公共組織が抱えている諸課題の情報交換、FMと保全に関する調査研究、会議などの動向や講演会・研修情報並びにFM と保全に関する基本的知識の提供など、幅広い活動を予定している。このネットワークに公共建築に携わる多くの方々、組織が参加され、公共建築の効率的な活用、適切な運用・維持保全、施設の長寿命化、環境負荷の低減、社会・行政ニーズの変化への適切な対応等の推進と公共建築の最適化に寄与することを期待するものである。