F市 人口 9万人
1.保全情報に関するシステムの必要性の認識と理由
平成19年度から予算査定前の段階での投資的経費の中で営繕分野における費用について妥当性の検討を行うようにし、平成20年度からは全ての建物所管課に対して「営繕ヒアリング」という聞き取り及び現地調査を行うようにしている。
そこで判明したことは、1点目として、同様な修繕でも、担当者によってフローの違いがあり単価にもバラツキが見受けられた。2点目として、個々の担当者において、営繕周期というルールがなく、「壊れたから修繕」という観点のみで進められ、過去の修繕履歴の整理がされていない状況に危機感を感じた。3点目として、必要性(営繕担当部局)と可能性(予算措置部局)のバランスを取ることが重要で、施設に関する統一的な営繕データが必要と考えた。
平成21年度に、上記の課題に対して、営繕計画にとどまらずニーズに対応するための新規案件や建替え計画なども盛り込んで、施設毎に「長寿命化計画」を策定することにしたので、システムを当該計画のツールとして活用するように考えた。
2.BIMMSというツールの認識
平成16年度に国土交通大学校の営繕研修に参加し、営繕に関する基礎的なノウハウを知った。その後、平成18年度に近隣市町の動向について聞き取り調査を行い、国等ではもう既に導入している実態を聞いた。平成21年度に、現実的に検討し始めた際に、県にも相談して存在を具体的に認識した。
3.BIMMS導入までの検討時間と主な検討課題
実現性を前提にして平成21年4月から近隣市や県に聞き取り調査し、翌年度の予算化に向けて動いたが、残念ながら予算化されることはなく、当該年度に公営住宅の長寿命化計画を策定した際に理事者協議を行い、営繕の取り組みの重要性について理解を得た。その後、平成22年6月に企画・財政部局と協議を行い、理事者同様に理解が得られ、翌年度から予算化することができたので、検討時間としては1年半ぐらいとなる。
また、検討対象となった課題としては、類似システムとの違い、紙データとの違い、メリットの整理、導入費用等である。
4.BIMMSを選択した理由
システム導入からの運用経費が安価である点、システムの導入実績、操作の容易性や導入後の活用性を考慮した。
5.予算要求するうえでのハードル(有料利用契約と一括登録委託)
基本的に、利用料金は他社のものと比較検討していたので、予算的に費用が問題にされることはなかった。また、一括登録委託料についても、各建物所管課の担当者が入力作業を行う人件費と比較することで、委託の予算化も全く問題にならなかった。
平成18年度に「F市ファシリティマネジメント会議」を設立したものの、建物の利活用についての検討が中心で、施設の長寿命化は殆ど手掛けていなかったし、上記3のとおり課題を解決する必要があった。総合的には、前年度末に理事者協議を行い、システム導入についておおむね理解を得られていたので、特別にハードルが高いという印象はない。
6.契約方法について
建築保全センターがどのような団体かという質問は受けたが、システム利用について協議していたので、建築保全センターとの利用契約の締結について特に問題はなかった。また、建築保全センターへの一括登録委託契約についても、「システム管理を行う会社で、データ一括移行するにあたり密接不可分の関係にあり、他の業者では著しい支障が生じる」という説明により理解が得られた。
7.BIMMS利用契約手続きで困ったこと(契約 平成23年5月1日~平成24年3月31日)
データ整備が間に合わなかった。管理者講習会で、実際に物件登録が無ければ利用料金が課金されないという話を聞けたほか、システムの内容を把握してから委託したので、効率的かつ効果的であったと感じる。
契約書の内容としては、第14条本文中ただし書きの「7日間」、第16条第3項や第17条第2項本文中の「発注者が負担」、また第20条本文中「公益事業」といった内容の疑問点があったが、協議することで納得できた。
8.直営の登録データ取りまとめ作業での苦労
平成23年2月に施設所管課担当者に登録データの入力を依頼した。しかし、入力期限を過ぎても提出されなかったり、シート内の必須項目が不明のため未入力であったり、文字のフォントがバラバラで入力されていたりと、直ぐに委託できるレベルではなかった。そこで、必須項目については、当該施設の図面や現地を確認している。
また、学校施設は、文部科学省のデータどおり登録すると、小規模建築物の棟数が多くなるため、同一建設年度や連続した建物と見なしたりするなど担当者と調整している。
さらに、修繕履歴では登録件数が多くなりすぎないように小規模の修繕を除く作業をした。エネルギーシートの入力では全ての施設の修正を行う必要があった。
9.データ一括登録委託で困ったこと(平成23年8月26日~平成23年10月14日)
特に困ったことはない。
10.庁内説明会資料作成にあたって困ったこと
平成24年1月に行う取扱説明会の資料について検討中です。目的や注意事項、利用方法(さまざまな機能)について説明予定であるが、説明者用の手順解説書があるとよい。
11.建築保全センターへの要望事項
データ登録している施設の中長期計画について、全体で出力できるようになるとよい。財政部局としては、一番興味がある事項になる。